東京キワニスクラブより社会公益賞受賞

 

2014年7月4日、東京キワニスクラブ様(ロータリー、ライオンズと並ぶ国際的な社会奉仕団体)
より「第48回社会公益賞」を贈呈いただきました。
これを励みとして今後とも活動推進しようと心を新たにしています。

表彰式にて行いましたスピーチを紹介します。

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東京里山開拓団・代表の堀崎です。
この度は伝統ある社会公益賞の表彰をいただき心より感謝申し上げます。
正直「私たちでいいの?」と思っていたのですが、
「選考基準は地道に活動していること」といわれまして合点がいきました。
私たちは文字通り地面に道をつくるところからやっている活動だからです。

 

私たちの活動は、何十年も人の入らなかった荒れた里山を
児童養護施設の子どもたちとともに開拓、活用するボランティア活動です。
私がひとり荒れた里山に入って手作業で開拓をはじめたのは2006年、8年前のことです。
里山の価値に目覚めてしまいまして、熱心に通うあまり里山を地主から譲ってもらいました。
2009年にボランティア団体を立ち上げ、
2012年から大田区にある児童養護施設・社会福祉法人救世軍機恵子寮の
子どもたちとの里山開拓を開始しました。

 

ただ、決して順風満帆だったわけではありません。
はじめは山のなかで道に迷ったり、大怪我をしそうになったりしたこともあります。
地元の人から不審者扱いされたこともありました。
様々な施設に打診しても信頼も実績もない団体など相手にされない状況も続きました。

 

それでも続けてこられたのは里山には本当に魅力があったからです。
里山では、登山の山やキャンプ場と違ってやることが決まっているわけではありません。
子どもも大人も一緒になって自らの知恵とチカラを総動員する必要があります。
すると、木、葉、石、水、土など目に入るすべてが自然からの大切な恵みに見えてきます。
ここでは子どもたちも自分で焚き木を集めるところから焚き火をします。
植物栽培も畑も開墾し腐葉土をつくるところからです。
巨大なブランコや三階建ての木の展望台も、間伐材でみんなの力で手作りしています。

 

もう一つ、里山は、現代都市社会では重視されるお金、所属、肩書き、立場、年齢
といった価値観がほとんど意味を持たなくなる場でもあります。
先日、日本を代表する企業経営者の家族を里山でもてなすと、
「焼きいもってこんなにおいしかったんだ」「こんな里山がほしい」と目を輝かせてくれました。
どんな人の目も変えるチカラが里山にはあるのです。

 

現在、児童養護施設の子どもたちとの里山開拓はほぼ毎月1回継続しており、
これまでにのべ100人を超える子どもたちが参加しています。
多くはリピーターになってくれて、
「サッカーより里山が好き」「こんな笑顔は見たことがなかった」という声さえいただきます。
何十年も人の入ることのなかった荒れた里山に、こころからの笑顔と歓声があふれています。
家庭に居場所を失って悩みを抱える子どもたちが自分の居場所と楽しみを
里山に見出してくれるという奇跡のような光景がここにあります。

 
私たちはこう考えています。
東京は、人口が爆発し都市化に突き進む世界の最先端にあります。
一方で、多くの社会問題を内に抱え込んでしまっています。
社会のひずみというのは残酷なもので、
しばしば児童養護施設の子どもたちのように弱い立場の人の目の前に姿を現わします。
そんな社会を作り上げてきた私たち大人はどう反省して何に取り組むべきなのでしょうか。

 

私たちがたどり着いた一つの答え、
それが荒れた里山開拓を通じて児童福祉と環境保全に一石二鳥で取り組む道です。

 

この「一石二鳥」という言葉は私たちの活動のキーワードです。
趣味とボランティアが同時に進められることも一石二鳥。
子どもも大人も一緒に楽しめるのも一石二鳥。
最近、企業とボランティアの一石二鳥にも取り組みはじめました。
子どもたちと開拓した里山を、企業にメンタル研修の場として提供するのです。
ここでは児童養護施設の子どもたちはもはや恵まれない可哀想な存在ではありません。
たくましい子どもたちがひ弱になった大人たちを支えるという取組みです。

 

わたしたちは今回の表彰を励みとして
これからも「地道」に「一石二鳥」で活動を進めていきますので、
引き続き皆様とのご縁をいただけますなら幸いです。 

 

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