NPO法人 東京里山開拓団

東京の荒れた山林を児童養護施設の子どもたちとともに開拓し自然の恵みを活用するボランティア団体です

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 目指すところ>代表の思い>追悼・かこさとし先生へ(2018年5月)

先生が92歳で亡くなられたと本日のニュースで知りました。

私の心のなかに何かぽっかりと穴が開いてしまったようです。とても大切な存在が心の中からどんどん流れ去っていくのを自分の手ではどうにも止められない感じさえします。

先生が絵本作家になられる原点が、戦後、セツルメントというボランティア活動のなかで貧しい子どもたちのために手作りの紙芝居を作ったところにあることを知りまして、私の一方的で勝手な思い込みではありますが、先生を人生の師と仰いできました。そして先生の思想を私なりに形にしたのがこの東京里山開拓団なのです。

先生のお話を直接伺ってみたいと神奈川近代文学館で行われたご講演に参加させていただきましたのは2008年のことです。人生を一本の芯で貫かれたような先生のご姿勢に感化を受けまして、早速お手紙で子どもたちと荒れた山林を伐り拓くことを五感で楽しむようなボランティア活動を立ち上げたい旨をお伝えさせていただきました。

すると、まだ立ち上げ前というのに「非常にユニーク且つ具体的な計画でよき成果が得られる事と存じます」との丁寧な直筆のご返信をいただいたのです!私は本当にうれしくてうれしくてたまりませんでした。同封いただきましたメッセージ「よりたくましく、よりすこやかに」は今も東京里山開拓団の活動理念として大切にしております。

その後も毎年、当方のような小さな小さなボランティア団体の活動報告に、毎回丁寧なご返信をいただき励まし続けていただきました。実は東京里山開拓団の活動が軌道に乗るまでは運営に大変苦労していた時期もありました。なんでこんな苦労をしてまで団体運営したり荒れた山林を伐り拓いたりしないといけないんだろうと思ったことも正直あります。もし先生の励ましがなかったらきっと今頃、東京里山開拓団は続いていなかっただろうと思います。

―――以下引用―――

「意義ある自然ボランティア活動、なんと美麗!!快哉!!」(2012年)

「東京という怪都市に野性的な里山運動を展開されておられる様子、誠にご苦労なことで若ければお手伝いしたい所」(2014年)

「里山荒廃、限界地域、老人と子ども、これらの人口問題等、いよいよ問題内攻自爆のおそれ。御自愛の上ご活躍を期待しています」(2015年)

「里山ボランティアの活動にシゲキされ、本年3月『里山トロッコ列車』の絵本が出る予定」(2016年)

「先見の明の堀崎さんの活動に深い敬意を送り、どうぞますますご自愛ご発展を祈念」(2016年)

―――以上引用―――

ただ一つ心残りは、先生が大病と戦われていたことをずいぶん経ってから知り、お手紙を送りつけご返信いただいてはただ喜んでいたことで、本当に申し訳なく思っています。

私は手紙の他にも、先生の膨大な著作群からたくさんの学びと刺激を受け続けてきました。

『日本の子どもの遊び』は先生が日本全国を巡り、時には子どもたちの遊びの輪の中に入って集めた膨大な子どもの遊びを考察するという比類なき大論文ですが、私はこの本を読んで、初めて、自然遊びのもつ本質的な価値を理解することができました。

また、『みらいのだるまちゃんへ』の締めくくりの文章には今も深い感銘を受け続けております。

―――以下引用―――

僕の予想だと2050年くらいになると地球の人口は百億人くらいになるはずです。百億人になるとちょっと生きていくのは難しいのではないか。

(中略)

もういい加減、謙虚にならなければいけないのに、つまらないことでいつまでもせめぎあっていると、僕なんかは、人間が一番最初に滅びるんじゃないかと思ってしまう。

(中略)

脅かすわけではないけれど、僕は子どもたちに、自分がなんであるか、どういう生き物であるかをしっかり知っておいてほしいと思います。自分が生きている社会をよく見つめ、観察し、よりよいものに変えていってほしい。

現実が醜く思えることもあるかもしれない。しかし、それは今の現実にすぎず、今をどう生きるかで未来は変えてゆけるはずなのです。

生きるということは、本当は、喜びです。生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです。

もう何も信じられないと打ちひしがれていた時に、僕は、それを子どもたちから教わりました。遊びの中でいきいきと命を充足させ、それぞれのやり方で伸びていこうとする。

子どもたちの姿は、僕の生きる指針となり、生きる原動力となりました。それを頼みにして、僕はここまで歩いてきたのです。

だから僕は、子どもたちには生きることをうんと喜んでいてほしい。この世界に対して目を開いて、それをきちんと理解して面白がってほしい。

そうして、自分たちの生きていく場所がよりよいものになるように、うんと力をつけて、それをまた次の世代の子どもたちに、よりよいかたちで手渡してほしい。

どうか、どうか、おなじ間違いを繰り返すことがないように。

―――以上引用―――

改めまして先生の思いを私なりに受け止めまして、これからも東京里山開拓団の活動を継続していくことを心に誓いたいと思います。先生のことですから、きっと天国からも子どもたちのことを暖かいまなざしで見守り続けられていると思いますので・・・

先生、これまでのご配慮に心より深く感謝しております。本当に、本当にありがとうございました。90を過ぎても執筆活動を続けられたお体を休められてどうぞ安らかにお眠りください。ご冥福を心よりお祈りいたします。

2018年5月7日 

東京里山開拓団 代表 堀崎 茂

NPO法人 東京里山開拓団
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