私たちのツリーハウスの作り方 

 

    

ツリーハウスの魅力

 

 

ツリーハウスって子どもにとっても大人にとっても計り知れない魅力を感じませんか?なんでなんでしょうね?

 

私の思い描くツリーハウスのイメージの原型はさとうさとるさん(残念ながら先日お亡くなりになってしまいました)とむらかみつとむさんの絵本 『おおきなきがほしい』にあります。


 
主人公のかおる少年は、うちの庭に木登りのできる大きな木がほしいなあと お母さんと話しているうちにツリーハウスの想像の世界に入り込んでいきます。

 

それははしごを何本もつかって登っていくツリーハウスです。大きな窓のある部屋にはキッチンとテーブルとベッドがあって自分の好きな時間を過ごせる空間です。

 

てっぺんの見晴らし台に上ったかおるはこう言います。

 

――「ぼく、とりになったみたいだ」

 

  ほんとうに、そんなすてきなきぶんです。

 

  「わーい」

 

  かおるはおおきなこえをあげます。

 

   このみはらしだいにのぼったらかおるでなくったってきっとそうするでしょう。

 

実は、わたしたちの里山でも実際にこんなことがありました。

 

初めて里山に来た小学生の女の子がみんなで手作りした展望台の3階部に上ったときのことです。ここは床面でも地面から4m以上の高さですが、崖の上にあるため実際には数十mの高さのような感覚です。森の近景から遠くの山並みまで望める360度の眺望が拡がり心地よい風が私たちの顔や体に吹きつけます

 

すると、女の子は両腕を横に大きく拡げてこう言ったのです!

 

  「とりになったみたい!」

 

ツリーハウスの作り方

 

でも、ツリーハウスを作ったことのある人なんてほとんどいませんよね。ツリーハウスって一体どうやったら手作りできるのでしょうか。

 

まず私が行ったのはツリーハウスに関する本をかき集めて自分なりに想像し、現地に通って想像が本当に実現できるのか試行錯誤を繰り返しました。かおるのような想像力はもはやありませんが、大人なので想像を形にする力なら自信があります。

 

私が里山に通い始めた早い段階から目をつけていたのは、頂上付近の広場の片隅にあるコナラの木です。

 

この木に注目したのは、こんな理由からです。
・里山でみんなで過ごす広場の片隅にあって使いやすい位置にあること
・崖の上にあって眺めがとてもよいこと
(あわせて大きなヤマザクラが近くにあって4月は花吹雪が舞います)
・50年ほど前に伐られて萌芽更新した4本の幹が太くなりて
 かなりの重さに耐えられそうだったこと

 

ツリーハウスを作る上でしっかり考えなければならないのは、数百キロの重さがかかる「床」をどう支えるかという問題です。

 

私は穴をあけずにロープで縛り付ける方法などいろいろな方法がある中で木の幹に鉄骨を貫通させるやり方を選びました。

 

木に鉄骨を貫通させることは体に穴を開けるようで心理的に抵抗がある人もいるかもしれません。ただ、木にとっては幹の表皮のすぐ下をぐるっと取り巻く部分は水分や栄養をやり取りする大事な管があり、ロープで縛りつける方法も首を絞めているような感じとなり、木への負担が相当あります。それに比べればすでに死んでいる木質部分に穴を開ける方がまだ木への負担が少ないのではと考えています。

 

床を作るためには、まず4本の幹を貫通させた鉄骨に「大引き」と呼ばれる太めの木を渡します。その上に直行させるように「根太」と呼ばれる床を支える木を何本も渡します。さらにその上に、床となるべニヤ板を置いて木ねじなどで固定します。

 

「柱」や「壁」については床と比べるとそれほど難しくないのですが、それでも雨、風にさらされ続けますのでどうやったら長持ちするか考える必要があります。私は、あまり完璧な密閉空間を作ろうとするより、むしろ隙間の多い空間を作る方がいいと考えています。

 

天候の悪い時にはそもそも里山には行きませんので、急な雨や風がある程度しのげれば十分です。それにそのまま活用する間伐材はまっすぐでないので隙間からの雨漏りはどうしても防ぎきれません。直線加工するにはある程度の太さの木が必要になりますし、道具や時間の関係でかなり難しいのです。そこで、むしろ自然に乾燥しやすいように隙間をしっかりと設ける予定です。

 

ツリーハウスを作る際は、誰かの作り方を学んでただ現地に適用するというだけではいろいろと支障が出てきます。現地で木をよく観察して現場の状況や自分の目的にあわせて設計に見直すことが大切と考えています。

 

私たちのこだわり

 

私たちは自分たちの目標を掲げてボランティア活動を進めている団体であり、単にツリーハウスが作れればいいと思っているわけではありません。特に下記3点についてはこだわりを持っています。

 

1)子どもたちとともに作り上げること!
私たちは児童養護施設の子どもたちとアイデアを出しあって自分たちの力でツリーハウスを作り上げようとしています。それは、児童養護施設の子どもたちにとってのふるさとをつくることを目指しているからです。

 

大人しか扱えないチェーンソーや電動工具なども使いません。子どもたちととも自分たちで作り上げる過程を大切にしているからです。きっとプロの手を借りればもっとしっかりしていて小ぎれいなツリーハウスを手間なく作れることとは思いますがそれではだめなのです。できるだけ他の誰かの手を借りるのではなく、自分たちの手で作り上げることで初めて「ふるさと」が思い出とともに作られていくのを想像しているのです。

 

2)里山の恵みを生かすこと!
私たちは荒れた里山を現代都市社会で新たな活用することを目指しています。間伐した細い木々もうまく活用すれば加工製材よりはるかに味のある素材になります。細い木では平面を作るのが難しいのでベニヤ板などの加工製材も一部には使いますが、できる限り現地で調達した里山の恵みを活用して進めています。他にも地形、他の木、雨水、石、土などをうまく生かしてツリーハウスやかまど、トイレ、水場といった設備づくりを進めています。

 

3)協力者の輪を拡げて進めること!
これまでどちらかというと秘密基地づくりのような感じで、自分たちだけでこっそりと進めてきたのですが、最近より多くの人に協力を呼びかけて進めるよう方向転換しました。それは私たちの活動を継続するためには、もっと多くの人に知ってもらって会員や資金、協力者を継続的に確保することがどうしても必要と考えたからです。一度ツリーハウスができても野ざらしではきっと5年も持たないでしょう。それにツリーハウスへ続く山道や広場もメンテし続ける必要があります。何より私たちの作ろうとしている「ふるさと」はそこにあり続けないと意味がありません。そこで、初めての試みとして、クラウドファンディングREADYFORで幅広く呼びかけて支援者を増やす取り組みを進めています。

 

お金についていうと、交通費や食費などを除くと、直接ツリーハウスづくりの材料や道具にかかるお金はせいぜい数万円程度です。お金なんかかけなくても、いや、正しく言うとお金をかけずに手間暇かけて作るからこそ、世界に一つだけの私たちのツリーハウスができ上がるのです。

 

ツリーハウスのあるふるさとを作る意味

 

東京にツリーハウスを児童養護施設の子どもたちとともに手作りする――こんな無謀とも思える活動をわざわざ時間も手間もかけて進めているのは、そこに社会的な価値があると確信しているからです。

 

3600万人の暮らす世界最大の都市圏・東京も、周辺部には林業が成り立たず荒れたまま放置された山林が多く残されています。一方で、家族と暮らすことができず児童養護施設で暮らす子どもたちは全国で約3万人、東京圏には約6千人います。私たちNPO法人・東京里山開拓団は、両者をつないで環境保全と社会福祉に同時に貢献するボランティア活動を進めています。

 

2012年からは実際に児童養護施設の子どもたちとの里山開拓を続けながら、子どもたちが本当に必要としているのは何だろうと考え続けていまして、それは「ふるさと」ではないかと思いに至りました。

 

豊かな自然に抱かれて都会のつまらないことなどすぐ忘れさせてくれるところ。

 

いつでも気兼ねなく帰って家族や仲間と過ごすことのできる自分の居場所。

 

大人になっても懐かしい記憶とともに蘇ってきて自分の存在を証明してくれる場所。

 

しかし、帰る家を一度失った児童養護施設の子どもたちにとって一見望むべくもない夢・・・

 

そこで、私たち東京里山開拓団は、それならここで一緒にふるさとを作り上げていけばいい。この里山で子どもたちとツリーハウスを手作りしよう!と思い立ったのです。

 

一見平和で豊かそうな顔をしながら深層では多くの矛盾と課題を内在させる世界最大の都市圏・東京。

 

そんな東京にあって『おおきなきがほしい』に描かれたようなツリーハウス、そして誰にとっても本来なくてはならない存在である「ふるさと」を児童養護施設の子どもたちとともに自分たちの手で荒れた山林を伐り拓いた里山に作り上げることには現代都市社会にとって大きな価値があるはずと考えているのです。

 


                 2017年4月 東京里山開拓団 代表 堀崎 茂

 

 

 


   


 

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