NPO法人 東京里山開拓団

東京の荒れた山林を児童養護施設の子どもたちとともに開拓し自然の恵みを活用するボランティア団体です

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 目指すところ>代表の思い>児童養護施設との里山開拓第4回「心の中の里山」(2012年9月)

2012年9月23日、日曜。ようやく残暑も去って6月以来の久しぶりの里山開拓のはずだったのですがあいにくの雨となってしまいました。しかし、今回は中止せずに、機恵子寮をみんなで初めて訪問し、里山で実施予定内容の一部を行うことにしました。参加は子ども7名と先生1名、それから開拓団会員4名の合計12名です。

機恵子寮は大田区の静かな住宅街の中にあります。みんなで暮らしていた建物は今建て替えのため荷物が運び出されがらんとしていました。子どもたちは近くの別の施設に少人数に分かれて暮らしており、久しぶりにみんなで集まる機会になった、と先生から聞きました。

その一室をお借りして行いましたのは、まず鳥の巣箱づくりです。子どもたちとともに自分の力で鳥の巣箱を作り、それを里山の木にかけて、鳥が入ってくれるかどうか観察したかったのです。 

寒風吹きさらす冬の里山にあって雨風をしのげる鳥の巣箱は貴重な避難場所となります。鳥たちが身を寄せて厳しい冬を乗り越えてやがて春になりそこで育まれた新たな生命が飛び立っていく・・・そんな情景を子どもたちとともに見守ることができたならどんなにわくわくするだろうと考えました。

自分自身が自然に直接働きかけることで自然とのつながりを実感すること。それによって里山と自分の距離はぐっと縮まっていきます。これこそ開拓団の目指す姿でもあります。


しかし、実際にはハードルが残されていました。どうやって幼い子どもたちと短い時間で鳥の巣箱が作るかという課題です。 板をカットして組み立てていく本格的な巣箱づくりには何ヶ所も切断と接着が必要なのでどうしても数時間はかかり、小学校低学年の子どもとの活動では難しいのです。

開拓団会員であれこれ考えた結果たどり着きましたのは、カステラの入っていた木箱をボンドで接着してのこぎりで半分に切って、ふたを張るというものでした。こうすれば、切断と接着は一ヶ所で済みます。そして、入り口の穴をドリルで開けて、周りに油性ペンで絵を描き、子どもたちと力を合わせて1時間あまりで合計6個の鳥の巣箱を完成させることができました。

この他に、展望台に掲げる旗を子どもたちに製作してもらいました。展望台自体は大人が作ったものですが、もっともっと子どもたちにとって自分の居心地のいい場所になることを願って、自分たちの旗を掲げることにしたのです。

そして、里山でバーベキューをする予定だった食材をみんなで調理して昼食。みんなでわいわいしながら食べると食欲が弾んで、おにぎりや焼き芋がどんどんはけていきます。

食後に廊下でスイカ割をおこないました。7人の子どもたちが順番に目隠しして、まずは自分でくるくる回って目を回してから周りの誘導にしたがって進んで竹刀を振り下ろします。丁度7人目で見事に半分に割れて、そのままデザートの時間となりました。

今回の開拓団にとっての収穫は、雨でも、里山でなくても、次につながる里山開拓準備の活動ができたことです。鳥の巣箱と旗の設置は来月の里山開拓企画の中心になります。

 

東京都内から里山に頻繁に通うことは現実にはとても難しく、 里山にいるときは普段の生活から開放されたとしても、そのときの輝きはすぐにいつもの生活や環境の中で埋没してしまいがちです。

しかし今日という日は普通なら退屈してしまいそうな雨の一日でしたが、一緒に充実した楽しい時間を過ごすことができたのです。

それがなぜ可能だったかというと、もうすでにみんなの心の中に共通の「里山」があるからではないかと思うのです。

 

普段の都会生活の中でも心に里山を持ち続けること――

自分にとって居心地のいい場所を心に持つことは誰にとっても大切なことです。何か大変なことがあってもいつでもそこに立ち戻って自分を取り戻すことができますし、何かいやなことがあってもそこではそれが本当はとても小さなこと思えてくるからです。

普通は、うちだったり、田舎だったり、学校だったりすると思いますがもし何らかの事情でそこに自分の居どころ、よりどころを見出せなかった場合どうすればいいのでしょう。

答えは簡単。自分にとって居心地のいい他の場所を探せばいいのです。里山という、何があろうとも変わらず暖かく迎え入れてくれる場所は、その大切な候補地のひとつと考えるのです。

     

                       2012年9月 東京里山開拓団代表 堀崎 茂

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